1988 年、後に世界中の人々から親しみを込めてMr. GLOBAL と呼ばれる創業者の土田實は、当時日本国内では全く無名で、月間約500 本程度の生産しかなかったGLOBAL knife を初めてドイツ・フランクフルトの展示会Ambiente に出展しました。そこは千葉県貿易協同組合主催の3.3 平方メートルに6つの小さな会社が共同で商品を持ち合って出展していた猫の額ほどの大きさでした。
彼は海外での展示会期間中はもとより、その後小売店を1 軒1 軒回って包丁研ぎの実演販売を行いGLOBAL knife の普及に努めました。少しずつ、少しずつ、1 本の包丁を大事に研ぐように、小売店1 軒1 軒を回って店先で実演販売をしたのです。
最初に興味をもったのは北欧(スエーデン、デンマーク)です。彼は後にデンマークの販売代理店となるRosendahl 社の社長さんから、どんなに苦しくとも決して安易に安売りはしないこと。まずブランドを確立することが大事と教えられたそうです。
そして数年の年月をかけて少しずつドイツ、オランダ、イギリス等ヨーロッパ諸国にその輪は広がって行きました。そして、いよいよ大陸をまたいで北米、オーストラリアへと浸透していきました。毎年2月ドイツ・フランクフルトでのAmbiente, 3月のシカゴショー、8月のメルボルンフェア、11月イギリス・バーミンガムでのGood Food Show。やはりやり方は同じです。各国での展示会の前後、小売店を回ってGLOBAL knife での包丁研ぎの実演販売を繰り返しました。
その内、展示会に関係なく、単発で各国代理店を通して包丁研ぎのデモンストレーションの依頼が舞い込むようになり、これに合わせるかの様にGLOBAL knife の売れ行きが急ピッチで上がって行きます。
ここに毎年何本売れたかを書き記した土田メモがあります。
この創業者のひたむきな、地道な努力によって、当初わずか12 items でスタートしたGLOBAL knifeも海外のシェフや大手小売店からのリクエストによって今日では150 items 以上に拡大しています。
弊社は4年に1度開かれる料理のオリンピック(Culinary Olympic)のサポートにも力を注ぎました。会場にブースを設営し、各国代表のシェフチームの皆様にGLOBAL knife を提供することによってそのサポートに努めました。
また、20数年前より、次代のシェフ育成のため、各国の料理学校へのサポートに努めてきました。代表的な例としてはイギリス・ロンドンのミシュラン2つ星レストランLe Gavroche のオーナーシェフ、Michel Roux Jr.が彼のいとこ(Waterside Inn ミシュラン3つ星レストラン)と運営する歴史ある料理学校Roux Scholarship へのGLOBAL knife 無償提供です。
我々は海外の販売代理店を家族同様にお付き合いしてきましたので、彼らをGLOBAL family と呼んでいます。スエーデン、デンマーク、オーストリア、イギリス、オーストラリアなどすでに2代⽬、3代⽬が後を継いでいるGLOBAL Family も少なくありません。
GLOBAL KNIFEの生みの親
GLOBAL Designer
GLOBAL KNIFEの育ての親
Mr. GLOBAL
共にGLOBAL KNIFEを育て上げた人々
伝統的な包丁製造の技術と新しいデザインを組み合わせて世界中のシェフと自宅で料理する人たちを魅了する画期的な製品を生み出したい、という吉田金属工業(吉金)の創業者の想いから私たちの物語は1985年に始まりました。このブランドはその想いに即してGLOBALと名付けられました。
地元新潟のプロダクトデザイナー山田耕民に独特の形状のハンドルと切れ味鋭い刃を持つオールステンレスの包丁の開発が委ねられました。そして国際的ビジネスマン土田實(MINO)がGLOBALの海外代理店の開拓を彼の豊富な人脈を通じて担い、斬新なマーケットスキルを駆使してセレブシェフやメディアの心をつかみました。これが一般の人々の興味を大いに引き付けるきっかけとなり、あとは歴史の物語る通りです。
40年を経た今、最初のCLASSICシリーズに数多くのアイテムとコレクションを加えGLOBALは今でも世界の包丁のリーディングブランドであり続けています。
John Sundqvist氏の墓標には感謝の意を表す為Globalのブラックドットが彫られている。
スエーデンにおけるGLOBAL KNIFEの物語は私の祖父の時代にさかのぼります。
1988年、私の祖父JOHN SUNDQVISTはGLOBAL KNIFEに素晴らしいタイミングで出会いました。その頃スエーデンの人々は切れ味のよい包丁がどんなものかほとんど知りませんでした。シェフはキッチンで働いているというだけの人であり、家では我々は電子レンジで調理しているだけでした。それから時代は少しずつ変わり、テレビで料理番組が人気となるにつれスエーデンの人々にとって料理はせねばならないものから楽しむ趣味へと変わっていったのです。
シェフはテレビ番組でGLOBAL KNIFEを使いその包丁で玉葱を刻む様子はテレビでとても大きく放送され、GLOBALブランドは一躍スエーデン全国に知れ渡りました。
そしてそこからGLOBAL KNIFEは大きな成長を遂げます。
私の父BJORN SUNDQVISTが祖父のビジネスを引き継ぎ、より組織的な経営で拡大しました。このファミリービジネスは今では55人の従業員を抱え、北欧諸国すべてでビジネスを行っています。
我々はファミリーとしても会社としても、マスターカットラリーと吉金のサポート、フレンドシップ、そしてビジネスに常に感謝しています。
J.A. Sundqvist AB 社用車
今から40年くらい前、当時私の父親、渡邉勇蔵がこの会社の創業者、初代社長をしておりました時の事です。弊社は最中ハンドル(hollow handle)のflatwareの加工経験がありましたので、これを生かした新しい包丁を作りたいと模索しておりました所、人の紹介で工業デザイナーの山田耕民氏と出会い、この新製品のデザインを委託しました。
開発当初は、国内販売が中々芳しくなかったのですが、旧知のマスターカットラリー㈱の土田社長も新しい製品を熱心に探していて燕市に来られておりました。
渡邉勇蔵社長と土田社長が、二人の行きつけの寿司屋さんで、日本酒を指しつ指されつしながら、海外はGLOBAL knifeを土田社長に任せようと合意したのは有名なお話です。
その後、土田社長はGLOBAL knifeをフランクフルトのアンビエンテ展示会、テンデンス展示会、料理のオリンピック等に出展されヨーロッパを始め世界各国に広めて行きました。
山田耕民さんの卓越したデザイン、渡邉勇蔵さんの製品への頑固な思い、そして土田さんのたゆまない営業努力によって、今日のGLOBAL Knifeがあります。
土田實前会長との出会いは、私が26才の時、まだお互いサラリーマン時代でした。その後互いに独立し私は印刷会社を、土田さんは商社(現マスターカットラリー㈱)を立ち上げ、当時は日本のKitchenwareを主にIKEAに輸出されていたと記憶しております。
ある日私は東京の商社を2-3社訪れた際、当時の吉金の渡邉勇蔵社長(創業者、現社長の父)と営業担当の常務さんに偶然お会いしました。彼らは新製品の包丁を大阪、神戸、名古屋、東京の商社に持ちこんでみたが、どこも興味が無いとの事を仰っていました。
翌日この話を土田前会長にした所、彼は目の色を変えて興味を示し、すぐ新潟に行き吉金と交渉して来るとの事でした。その翌週土田さんから電話があり、製品は見せて頂いた事、吉金はこの製品を2年間土田さんに預けるとまで言ってくれたそうです。
ここまでがGLOBAL Knifeが世に出る前、夜明け前の出来事です。
土田さんはGLOBAL knifeをどうやって世に出すか、相当悩んだそうです。旧知のDavid Grunwerg氏(イギリス代理店前社長)のアドバイスを受け、黒をベースにした装飾で1988年のドイツ、フランクフルトの展示会に出そうと決めて、大急ぎでパッケージの製作を依頼してきました。土田さんは、よく口癖で、一生に一度で良いから自分がプロデュースした商品を世の中に出してみたいと仰っておりました。そのチャンスがGLOBAL knifeでした。私も彼の意気込みに応えるべく最大限の協力を惜しみませんでした。
当時は資金的余裕がなく、展示会でも小さいブースしか出せず、展示会終了後はGLOBAL knifeを持って包丁研ぎの実演をして、世界中の小売店を回り拡販に努力されておりました。
彼は、何年もの間この様な地道な、ひたむきな努力を重ね、ついにはGLOBAL knifeを世界のゆるぎないブランドに育て上げました。しかしながら、当時はGLOBAL knifeが今日の様な世界的展開に至るとは、誰も想像だにしませんでした。全て土田さんの努力の賜物です。
「俺はこの商品に賭けてみたいのだ。」と言う彼の言葉が忘れられません。
土田さんとは彼がまだ独立する前に出会いました。 独立後は燕市のTablewareを英国の輸入業者や、IKEA向けに出荷していました。ある日突然IKEAが今後はメーカーと直に取引をすると通告を受け、何か新しい商品がないかと熱心に探しておられました。そこで彼が出会ったのがGLOBAL knifeです。
製造元の吉金から、海外は一切任せるとの約束を取り付けフランクフルトの展示会に打って出たのが1988年頃だったと記憶しています。私から見て彼の成功の秘訣は、各国に信頼のおける販売代理店を設定し、GLOBAL knifeを市場に認知させるためヨーロッパ各国を包丁研ぎの実演で回りながら、代理店と一緒になってマーケット管理を徹底して行ったことだと思います。
一方、私どもの会社は35年以上に渡りGLOBALブランドのナイフスタンドやマグネットラックなどアクセサリー製品を製造してきました。土田さんは大変なアイデアマンで、当時浄水器のカバーをヒントにステンレスのナイフスタンドを思いつき、その製品は今でもコンスタントに出荷しています。
彼は自分に厳しい人でしたが、品質に関しても大変厳しく一切の妥協を許しませんでした。彼は品質レベルが向上すれば物の考え方も変わってくると良く言っており、アクセサリー製品もただ言われた通り作っているのではなく、自分たちでこのブランドを育て上げるという強い気持ちでやらないとダメだと言っておりました。弊社も GLOBALブランドの製品に関わるようになって、社内で品質向上に関する考え方もステップアップして行ったと思います。
土田さんがGLOBALブランドを手掛け始めた頃、よく弊社の社員旅行に来てもらいヨーロッパ市場に関する最新の情報や、時代の変化にタイムリーに対応していく事の重要性について教えて頂きました。彼はメーカーとは一心同体で、共に生きていくという姿勢を貫いていて私たちをとても大事に扱ってくれました。
GLOBAL KNIFEを作る職人たち
SAMURAI CRAFTSMEN
マスターカットラリー株式会社
〒 130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-1 アルカセントラル7F
E-mail : info@mastercutlery.co.jp